少しでも世界情勢に興味を持つと、イスラームに関わる事象というのは毎日のように目に入ってくる。
それもその筈で、この世界には総計約9億人(世界人口に占める割合:24.9%)ものイスラム教徒がいるとのこと。
ということは、極めて短絡的に考えると、イスラームに対する知識が欠けているということは、世界情勢を把握する際に4分の1ほど視界が塞がっている、ということになる。(例えがおかしい。)
そう考えると、この状態に甘んじるわけにはいかないという思いが強くなり、いつしかイスラーム関係の記事・本を色々と読むようになっていった。
今日は、その中でも特に興味深かった本を、3冊ほど紹介したい。
まんがで読破 コーラン
イスラームを理解するにあたり、最も重要な書物は「クルアーン」と「ハディース」だという。中でも「クルアーン」は、アッラーから使徒ムハンマドに直接下された啓示であり、その重要性は際立っている。
ただ、直接それらを読もうとすると、量的に圧倒されるし、価格も高い。(これは聖書も同じ。)
そこで私は、我が国が誇る文化の力を借りることとした。そう、漫画である。
調べてみると、難しい学術書を漫画で読む、というお誂え向きの作品があるではないか、
ということで手に取ったのが上記。
ムハンマドと同時代に生きた人たちを題材に、彼の人生の足跡をたどりつつ、
コーランの中身について、その軸となる概念(ジハードなど)を中心に分かりやすく伝えてくれる。
それになんとなくとして、偶像崇拝が禁じられる宗教を漫画化する、という試み自体にも少し感心した。
とまれ、これは私にとっては最高の導入となった。
イスラームとは何か
次は正に、そのものズバリ、な作品。筆者は我が国が誇るイスラームの碩学・小杉泰先生。
この本では、イスラームの誕生から現代社会でのあり方に至るまで、自分が気になっていたことについて具に解説をしてくれている。
特に、私がまず疑問に思っていた、「イスラームとユダヤ・キリスト教との違い」や「シーア派とスンナ派」、一神教における最大の謎?である「自由意志と定命」についても詳しい説明があり、これによって私のイスラーム世界に対する見通しは大分良くなった。
また、「アカバの誓い」について説明する段で、イスラームはムハンマドの教えについて信者に盲従を強いる宗教ではなく、仮にムハンマドが虚偽や悪徳を命じることがあればそれに従う必要はない、と明言しているとも書かれており、私のイスラームに対する思い込みは大いにアップデートされたりもした。
加えて、先生は直近だと「ハディース」の邦訳を岩波文庫から出されており、こちらも素晴らしい内容であったので、興味があったら是非参照してみてほしい。
イスラーム主義
名著・中東政治入門を書かれた末近浩太先生の本。聞くと末近先生は先の小杉先生のお弟子さんとのこと。
本作は「イスラーム主義」ということで、先の小杉先生の本で言うところの、現代社会におけるイスラームという部分に特にフォーカスを当てている作品となる。
まずは表題のイスラーム主義とは何か、というところの説明より始まり、その変遷を論じ、最後にあるべき近代への考察が書かれている。
具体として、アフガーニー、アブドゥ、リダーといった改革者達の思想体系の概要の説明があり、また、変わったところでは、ジハード主義者の内面性の分析等を、統計やアンケートといった調査手法を駆使して行われていたりもする。これは、議論が実態としてのイスラームから決して乖離しないようにされるための工夫であるということで、私は著者により好感を持った。
知れば知るほど奥深いイスラーム。
また時間を見つけて別の本をあたってみたい。
※特に末近先生の近著が最近出たらしいので、明日書店で手に取ってみようかなと考えている。
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