「103万円の壁」とは何か
そもそも103万円の壁、とは何か。
この点、すでに数多の論者が語っているが、敢えて一次資料(政府刊行資料)に則って調べ直すと、
いくつかある「年収の壁」のうち、税金(所得税)の支払いが発生する年収のことを言う。
https://www.mhlw.go.jp/content/001265287.pdf
また、これ(103万円)は基礎控除48万円、給与所得控除55万円の合算額であり、
前者は、例えば会社員の合計所得が2,500万円以下であるときに、最大48万円が一律控除される制度であり、
後者は、会社員やアルバイト・パートなど、企業から給与をもらう給与所得者が受けられる制度であり、収入に応じて一定額が控除されるという仕組みだ。
※例えば、収入が162万5,000円以下の人は控除額が一律55万円となる。https://www.nta.go.jp/users/gensen/nencho/index/kyuyosyotokusya.htm
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1410.htm
国民民主党の政策について
このことを踏まえて、国民民主党の施策を整理すると、
これは上記103万円の控除額合計額を、178万円まで引き上げる、というものとなる。
この金額(178万円)の根拠は、103万円という額が制定された1995年からの最低賃金の上昇幅分(1.73倍)、
ということらしい。
さて次に、具体的にどのようにして控除上限額(基礎控除 or 給与所得控除)を上げるのか。
以下の情報からすると、国民民主党は、基礎控除を現行の48万円から123万円(+75万円)へと引き上げる方針であるとのこと。
https://edenred.jp/article/workstyle-reform/185/
確かに、これであれば働く多くの人(基礎控除が適用される合計所得が2,500万円以下)にとっての減税となることは想像できるが、それが国民民主の狙いなのだろうか。
この点、国民民主が働く人の手取りを増やす、ことをそのメインに据えていたのであれば何の違和感も矛盾もないが、玉木代表が折りに触れ、学生の働き控え、に的を絞ってこの問題を説明していたことを考えると、実はいくつか違和感がある。
その違和感を理解するために有効な補助線が、冒頭で示した厚労省資料(「年収の壁」)、そして立憲民主党の政策であり、重要な論点ではあるが、ここでの議論は飽くまで会社員にとってこの施策がどのような効果を持つのか、という話なので、今回は割愛する。
※減収をどう補うか、という論点も同様である。
会社員にとっての減税効果
最後に、この記事の主眼である、会社員にとっての効果。効果、というのは言わずもがな減税効果である。

https://www.instagram.com/p/DBapjl4TZhu/?utm_source=ig_web_copy_link&igsh=MzRlODBiNWFlZA%3D%3D
上記は玉木代表のInstagramからの引用だが、記載の通り、仮にあなたの年収が600万円の場合、減税効果は15.2万円となる。
このからくりはどのようになっているのか。
住民税、復興所得税まで考えると複雑になるので、ここでは所得税の計算を行うことでイメージをつけてもらいたい。

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1410.htm
上記の国税庁作成の表を用いて考えると、年収600万の人は、これまで所得税のベースとなる金額が600万円-103万円=497万円となっていたわけだが、国民民主党の政策が採用されると、これが600万円-178万円=422万円となる。
すると、
(As-Is) 497万円 × 20% – 42万7,500円 = 56万6,500円
(To-Be)422万円 × 20% – 42万7,500円 = 41万6,500円
→減税効果:15万円
となる。
勿論これは近似だが、会社員にとって、少なくない金銭的メリットがあることは明確だ。
結論
国民民主党が掲げる「103万円の壁」見直しは、会社員にとって少なくない金銭的メリットがある。
無論のこと、上記でも述べたように、この政策が、
・パートアルバイト、学生、主婦等、年収が103万円の近傍にあり、その人達の勤労意欲を高める効果があるか
・財源論的に、この政策を取ることによる恒久的な減収(7.6兆円規模)をどう埋め合わせるか
という点を解決しない限り、国として本当に望ましいものである、という結論には至らないだろう。
だが、単身世帯含む、国家の政策から忘れられた勤労世代にとって、決して悪くはないものだと思う。
したがって、引き上げ額など、幾分調整の余地はあろうが、個人的には賛同する。
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