マンキューでマクロ経済学を学ぶ(入門編)

各章の確認・復習問題について、なぜそうなるのか、自分なりの回答をメモしていく用に。
問題文は開示されていないので、記載は控えます。

目次

第1章

確認問題

1.景気後退とは、所得の減少が起こっている時期のことである。
2.失業率は、働いていない労働力の割合を測定する。
3.アメリカの歴史においては、デフレーションは、現在では稀であるが、過去にはときどき起こった
4.経済学者がモデルを用いるのは、それが、思考を明確化し、外生変数が内生変数にどのような影響を与えるかを示すからであり、面白いからだ
5.市場清算モデル※は諸価格が伸縮的であると仮定し、経済が長期の場合を理解するのに最もよく適用される。
6.ミクロ経済学は、マクロ経済学の諸関係の背後にある諸決定を理解するのに有用である
※市場清算モデル(the market clearing model)とは、供給と需要のモデルで、市場の価格が均衡価格、すなわち需要量が供給量に等しくなる価格に向かって動くというモデルのこと

復習問題

1.マクロ経済学は、所得の成長、物価の変化、失業率など、全体としての経済を研究する学問である。一方、ミクロ経済学は、諸個人と諸企業がどのように意思決定を行い、これらの意思決定者が互いにどのように影響しあうかについての研究である。また、当然のことながら、マクロ経済的な出来事はさまざまなミクロ経済的な相互作用から生じるため、すべてのマクロ経済モデルは、ミクロ経済学的基礎を明示しなくとも、それと矛盾するようなものであってはならない。
2.経済学者がモデルを用いるのは、それが、思考を明確化し、外生変数が内生変数にどのような影響を与えるかを示すからであり、面白いからだ。
3.市場清算モデル(the market clearing model)とは、供給と需要のモデルで、市場の価格が均衡価格、すなわち需要量が供給量に等しくなる価格に向かって動くというモデルのことであり、諸価格が伸縮的である場合に妥当である。

第2章

確認問題

1.名目GDPは、経済の産出量の価格を当該時点の価格で評価しており、フロー変数である。
2.GDPの構成項目で最大のものは、消費※である。
3.このこと(略)が増加させるのは、2021年の消費と2020年のGDPである
4.名目GDPと実質GDPの伸び率が同じであれば(意訳)、GDPデフレーターは変化しない
5.スウェーデンの自動車メーカーであるボルボ社が、アメリカで販売する自動車の価格を引き上げても、GDPデフレーターには影響を及ぼさない。
6.この場合(略)、労働市場参加率は低下し、失業率は上昇する

※日本経済においても、個人消費が60%を占めており、最大項目である。
?労働参加率は、生産年齢人口に占める労働力人口の割合のため、労働力(就業者+完全失業者)でなくなった時点で、分子が減じるため、この場合は低下する。一方、失業率は労働市場における労働力人口に占める失業者の割合であり、この場合では、労働力人口に含まれていた人が非労働力人口に移動し、分母が減るため、失業率は上昇する。

復習問題

1.GDPは、経済の全構成員の総所得と、経済で生産された財・サービスへの総支出の両方を測る尺度である。全ての経済取引には売手と買手がいるという単純な事実から、経済全体では所得と支出は等しくならなければならず、結論として、どちらか一方を測ることができれば、その時点でもう一方の数値も明らかになる、という意味で同時に測ることができるのである。
2.GDPの構成要素は、消費、投資、政府支出、純輸出の4つである。具体例として、それぞれ、自動車の購入費、工場建設費、高速道路建設費、自動車の海外輸出額から輸入額を引いたもの、がある
3.CPIは物価水準の尺度であり、GDPデフレーターが生産された財・サービスの全ての価格を対象とするのに対し、CPIは消費者によって購入された財・サービスのみを対象としている点で異なり、また、GDPデフレーターは国内のみ、CPIは国外を含む、という点で異なり、GDPデフレーターはウェイトが可変、CPIは固定、という3点で相違がある。
4.CPIとPCEデフレーターは、消費者が購入する財・サービスの価格のみを含んでいるという点では似通っているが、後者が財のバスケットが経時的に変化することを許容している点で異なっている。
5.労働統計局は、人を就業者、失業者、非労働力の3種に分けて各種分析を行っている。
6.労働統計局は、総雇用を測定するため、家計向けの人口動態調査、企業と政府向けの調査の2種類の手法を用いている。これは、全ての経済統計は不完全であり、互いに補完的な役割を担う、ということを前提として用いられている。
※詳細は省略

第3章

確認問題

1.企業は利潤最大化のため、生産要素の限界生産力がその実質要素価格に等しくなるまで各要素を需要するため、この場合、労働の限界生産力が25ドル、賃金が20ドル、資本の限界生産力が200ドル、レンタル料が120ドルとなるため、労働をより多く、資本をより多く活用するべきである。
2.コブ=ダグラス生産関数で記述できる経済においては、労働者、資本家に分配される総所得の割合は変数の乗数によって決まり、資本ストック量そのものには依存しないため、この場合、資本家に支払われる総所得の割合は変わらない
3.コブ=ダグラス生産関数で記述できる経済においては、労働力の増加は資本の限界生産性を高めるため、その需要は増加し、結果としてレンタル料は上昇する。一方賃金は、生産性が変わらずに供給が増えるため、低下する
4.実質利子率が上がれば投資量は減少する。これは利子率が資金借入のコストであるためである。
5.Y – T – C + T – G = I = Sより、1200 – 200 – 600 + 200 – 300 = 300より、300ドル
6.総生産量が生産要素で決まるという仮定を前提に、政府購入が減少しても可処分所得は変わらず、消費も変わらないということであれば、投資が増加することになる。また、投資が増加するということは、実質利子率が下落するということである。

復習問題

1.経済全体の生産量は、消費と投資と政府購入で決まる。
2.競争的な利潤最大化企業は、労働力に関してはその実質賃金に等しくなるまで、資本に関しては実質レンタル料に等しくなるまで各生産要素を受容する。
3.所得分配において、規模に関して収穫一定の果たす役割は、資本量や労働量、全要素生産性の変化と分配比率が関係しないということである。
4.y = AL1/4K3/4
5.消費は可処分所得に依存し、投資は実質利子率に依存する。
6.政府購入は、政府による財・サービスの購入であり、移転支払はそうした生産物との引き換えには行われない政府支出のことである。前者には道路建設や公共事業、後者には貧困層への公的扶助、高齢者のための社会保障支出があたる。
7.経済全体の財・サービスの生産量の需要と供給を等しくするものは利子率である。
8.政府が増税すると、可処分所得が減り、結果として消費は減少。生産量、政府購入は固定と仮定するので、これは投資の増加により相殺。投資の増加は利子率の低下を起因とするので、利子率はそのように動く。

第4章

確認問題

1.あなたが証券会社の口座に保有する株式の時価評価額はマネーサプライに含まれない。
2.部分準備制度の下では、銀行貸出によりマネーサプライが増加する。
3.中央銀行がマネーサプライを増やしたいのであれば、公開市場操作で再建を購入するか、必要準備を引き下げれば可能である。
4.FRBが準備に支払う利子率を下げると、貨幣乗数は上昇し、マネーサプライは増加する傾向がある。
5.レバレッジのため、銀行の資産価値の5%下落により銀行の資本の価値の低下は5%より大きくなる。※
※日銀債務の問題を考えるにあたっても重要なポイント
6.(この場合)マネーサプライは増加する傾向となるが、債券を売却すればマネーサプライを一定に保つことができる。

復習問題

1.貨幣には、価値貯蔵手段、計算単位、交換手段、という3つの機能的側面がある。
2.内在的価値を持つ貨幣を商品貨幣と呼び、貨幣としての機能以外の機能を持たない貨幣を不換紙幣と呼ぶ。
3.公開市場操作とは中央銀行による国債の売買であり、国債を買うときはその支払いによりマネタリーベースが増えてマネーサプライが増え、売る時は逆の事態が起きる。
4.銀行は預金を、一部を準備として残し、残部を更なる貸出に当てることができる。更に借りた者がそれを別の銀行に預けることで同様のプロセスが生じ、結果として世に出回るマネーサプライが増加する。この過程を信用創造という。
5.中央銀行は公開市場操作、銀行貸出、必要準備の変更、準備に支払う利子率の変更などによりマネタリーベースをコントロールすることでマネーサプライもコントロールする。
6.銀行危機により銀行が信用を失い、取り付けが起きると、銀行は準備を失い、結果として貸出縮小、回収を始めるので、それにより信用創造過程が逆回転し、結果としてマネーサプライを減少させうる。

第5章

確認問題

問いの前提として、貨幣数量式PY = MVをその前提とする。

1.200 = 100Vより、貨幣の流通速度は2である。
2.貨幣の流通速度が一定であるという仮定の下においては、流通速度一定の仮定のもとにおいては、
7 = 3 + (x – 2)
x = 6
3.フィッシャー効果の下では、予想されなかったインフレーションの上昇は、同じだけの名目利子率の上昇を招く。
4.ほとんどのローンは名目値で記録されているため、高い予想されなかったインフレーションは貸し手に不利となる。
5.ハイパーインフレは、中央銀行が大規模な財政赤字を紙幣の増刷で賄ったときに発生する。
6.(この場合)高いインフレーションは将来の貨幣成長の予想から生じうる

復習問題

1.PT=MV
生産量に取引数をかけた値(生産高)は、貨幣量に流通速度をかけた値と等しくなることを示す。
2.貨幣の流通速度一定という仮定が意味するものは、一定期間内に貨幣の持ち主が変わる速度が一定であるということである。
3.インフレ税を払うのは、資金の貸し手である。
4.インフレ率が上がっても、生産要素に依存する実質利子率に変化はなく、名目利子率がインフレ率と同じだけ上昇する。
5.インフレのコスト:
①シューコスト、②メニューコスト、③現金保有コスト、④預金コスト
④が最重要、③が次点。
6.ハイパーインフレは金融政策ではなく、財政赤字を紙幣増刷によって賄う(財政ファイナンス)ことで将来のインフレ予想が高くなり発生し、財政改革により貨幣発行収入への依存度が減ることで収束する傾向がある。
7.実質変数:量や相対価格など、物理的単位で測られる全ての変数 例)リンゴの生産量
名目変数:貨幣を単位として測られる変数 例)インフレ率

第6章

確認問題

1.国民所得勘定の恒等式より、S – I = NX。
貿易赤字というのはこの両辺がマイナスになるということ、すなわち資本の観点からいうと、国内の投資を貯蓄で賄えず、海外からの輸入に頼らなければならないということになる。したがってこの場合、純資本流入となる
2.NX = S – I = Y – C – I – Gより、政府による財・サービス購入の増加は国民貯蓄の低下を招く。メカニズムとしては1の通りで、Gの増加に沿うようにS – Iの供給曲線が左にシフトし、外国に供給(投資)する自国通貨が減少。それにより為替レートが下落、つまり自国通貨は増価し、結果自国財が割高となるため輸出が減り、輸入が増えるため、貿易収支は赤字に向かう。
3.他の条件が変わらなければ、世界利子率の上昇は、一国の借入れの費用を高めため、結果として自国内の投資を減らす。国内貯蓄は変化しないので純輸出は増える、つまり外国に供給(投資)する自国通貨量が増えるため、為替レートは上昇、よって自国通貨は減価することになる。結果自国財が割安となるため輸出が増え、輸入が減るため、貿易収支は黒字に向かうことになる。
4.輸入規制により、その為替レートにおける輸入量は減り、結果純輸出は増大(純輸出曲線が右にシフト)。しかし、これに自国の貯蓄も投資も反応しないので、為替レートの下落(自国通貨は増価)により均衡を保つようになる。結果、貿易収支は変化しない
5.国内の物価上昇により、自国通貨の値打ちが下がる。(通貨安を招く)これはつまり外国通貨がより多くの自国通貨と交換できるようになるということを指す。
6.2ユーロ

復習問題

1.純資本流出は国内貯蓄が国内投資を上回る額。貿易収支は一国の財サービスの純輸出に対する受取額。国民所得勘定の恒等式により、この2つは常に等しい
2.名目為替レートは一国の通貨を外国の通貨と交換する割合。実質為替レートは一国の財が他国の財と交換される比率3.国防費が増大すると、S = Y – C – Gより貯蓄が減少する。小国開放経済の仮定より、投資は世界利子率に依存し、これは変化しないので不変。よって純輸出は増加。つまり貿易収支は黒字化。それにより、海外に供給される円が増え、為替レートは上昇する。(つまり円は減価)
4.小国開放経済においては、輸入が減ると純輸出が増えようと動くが、貯蓄と投資は直接影響を受けないため、この動きに帳尻を合わせるため為替レートが下落(つまり円は増価)。結果純輸出は増えない。利子率は仮定から不変。
5.この場合、日本円で同じものを買うに際して、より多くのペソが必要となるため、円高になる(つまり増価)。これは為替レートの下落を意味する。

第7章

確認問題

1.失業保険制度は、失業者に対し、一定期間、以前の給料の何割かを給付することで、労働所得の不確実性を減らすことを目的としている。
2.失業保険制度は、その目的としているわけではないものの、1により、新しい職をみつけなければならないという切迫度を低下させることで、就職率を低下させる効果もある。
3.効率賃金仮説とは、高賃金を支払うことで労働者がより生産的になる、と考える仮説であるが、これは既に雇用している労働者に対して支払う賃金を変えるという意味を持つため、離職率が低下する傾向にある。
4.労働組合の集団交渉により賃金を押し上げる効果は各国において見られるが、アメリカの労働組合組織率は12%であり、これらの役割が小さいと考えられる。
5.経済において就業意欲喪失労働者が多いということは、U-3で定義される公式の失業率には現れないため、定義より失業率はあまり影響を受けないが、就労者・人口比率は低いということを示している。
6.アメリカの労働時間がヨーロッパのそれよりも長いことの理由の一つとして、その税率の高さを取り上げる仮説も存在する。

復習問題

1.自然失業率は定常状態における失業率を指し、これは離職率と就業率によって決定される。
2.摩擦的失業とは、労働者の職探しに時間がかかることで生じる失業のこと、構造的失業とは賃金の硬直性と職の割当てによって生じる失業のこと
3.政府が最低賃金を設定することによって賃金が均衡水準まで低下することを妨げているという説明が一つ、労働組合が主体となった賃金交渉が賃金を均衡水準まで低下することを妨げているという説明が一つ、効率賃金仮設により労働者の生産性をあげるためには高賃金が必要であるとの企業の考えにより賃金が均衡水準まで低下することを妨げているという説明が一つ。
4.失業件数のほとんどは短期間で終了しているため、失業は基本的に短期的なものと言えるが、失業期間総数の大半は少数の長期失業者によって作出されており、その点に注目すると失業が長期的なものである、と言える見解も成立する。
5.ヨーロッパの人々は、アメリカの人々に比べて働く時間が短い。この説明として、前者は後者に比べて税率が高いから、とする説、前者で組織率の高い労働組合が労働時間を短縮する要求を多くしているから、とする説、生産性の向上を余暇に充てる、という精神性に理由を求める説がある。

第8章

確認問題

1.普通の景気後退では、消費は減少する。投資も同じ方向に動くが、その変化率はより大きい
2.イールドカーブの傾きの低下は、短期金利が長期金利を上回る「逆イールド」という現象を指し、これは市場関係者が将来の金利低下を予想している場合に起こり、景気後退の予兆とされる。
3.この例のように、商店への支払いが現金のみとなるときは、手元現金が必要となるため、貨幣需要は増加する。これは数量方程式でいうところのV(流通速度)が上がることであると言えるが、このとき、マネーサプライが増えないとすると、生産量もこれに応じて増えるわけではないので、結果として物価水準が上がる。これはすなわち、いかなる物価水準Pにおいても生産量Yが減少することにつながる。したがって、総需要曲線は左方にシフトする。
4.総需要の増大(総需要曲線の右方シフト)は、短期的には物価水準に対して弾力的な総供給曲線を通じて実質GDPを増大させる。(同じ価格でより多くの製品を販売できるようになるため。)しかし長期的には、高水準の総需要は賃金や物価を引き上げ、物価水準もそれに伴って上昇していくため、価格水準だけを高める。
5.不利な総供給ショックが起きると、全ての費用と価格が引き上げられるため、短期の総供給曲線が上にシフトする。結果、物価水準も上昇し、右肩下がりの層需要曲線を通して、生産量も減少するスタグフレーションが発生する。
6.しかし、上記の場合において、中央銀行がマネーサプライを増加させる政策をとると、総需要曲線は右方シフトするため、物価水準は上がるものの、生産量は減少しない。つまり、経済を自然率水準の生産や雇用に近づけることになる。

復習問題

1.景気後退期に実質GDPが低下すると、通常、消費、投資は減少し、失業率は上昇する。
2.賃金
3.MV=PYより、貨幣の流通速度が一定、マネーサプライも一定ならば、物価水準Pと生産量Yの間には負の相関関係が見られるため、Y軸を物価水準,生産量をX軸としたときに右下がりの曲線となる。
4.マネーサプライが増加すると、数量方程式により、如何なるPYの組み合わせの数値も大きくなるため、短期の総供給曲線は右方シフトする。これに対し、短期の総供給曲線は価格に対して弾力的なので、生産量は増加。しかし、長期の総供給曲線は価格に対して硬直的になるため、生産量は自然水準に戻り、価格は上昇する。
5.供給ショックに対しても、需要ショックに対しても、政府のとりうる政策はマネーサプライの増加などによる総需要曲線の右方シフトとなるが、前者の場合、うまく対応できても価格水準が上がる、というデメリットが生じてしまう一方、後者は左方シフトした総需要曲線を元の位置に戻すだけで副次的効果を最小限に抑えることが可能となるため。

第9章

確認問題

1.ケインジアンの交差図によると、仮に限界消費性向が3分の2であれば、乗数効果により、1/1-2/3=1*3=3より、1200億ドルの政府購入の増加は、1200*3=3600億ドル増加させる。
2.租税の乗数効果より、-2/3/1-2/3=-2/3*3=-2より、1200億ドルの減税は、1200*-2=2400億ドル均衡所得を増加させる。
3.IS曲線が右下がりとなるのは、利子率が高くなると、計画投資が減少し、したがって所得が減少するからである。
4.流動性選好理論によれば、中央銀行は貨幣の供給を増加させ、利子率を低下させることができる。これはこのモデルで考えられる人間が、利子率が低下すると、人々は前よりも実質貨幣残高の保有量が多くないと満足できない、という性質を持つ、と仮定するためである。
5.LM曲線が右上がりの曲線となるのは、所得が高くなると支出も増え、貨幣を必要とする取引が増えるため貨幣需要が増加し、したがって利子率が上昇するからである。
6.IS曲線とLM曲線の交点においては、所与の物価水準の下で財市場と貨幣市場はともに均衡している

復習問題

1.ケインジアンの交差図を用いると、PE=C(Y-T)+I+Gと計画支出が定義されることを前提とする。このとき、財政政策はGを△Gだけ所得(PE)を押し上げるということを前提とすると、C(Y-T)も併せて増加する。すると、それに応じて所得が更に増加することになる。これが、財政政策が国民所得に対して乗数効果をもつ理由である。
2.流動性選好理論とは、利子率の調整を通じて経済の最も流動的な資産である貨幣の需要と供給が均衡すると仮定している理論である。この時、貨幣需要曲線は利子率に対して右下がりの曲線、貨幣供給曲線はマネーサプライをM、物価水準をPとすると、M/Pで表現される。これは政府の政策に依存し、利子率等の影響は受けない、という仮定をとっている。このとき、Mを増加させると貨幣供給曲線は右にシフト。すると、より低い利子率にて貨幣需要曲線と交わるようになる。なお、この説明は、物価水準については一定であるという仮定をおいている。
3.IS曲線は、投資関数で示されるrとIとの相互作用と、ケインジアンの交差図で表されるIとYとの相互作用を結びつけたものである。IS曲線上の各点は財市場の均衡を表し、その曲線は均衡所得が利子率にどのように依存するかを示している。利子率の上昇は計画投資の減少をもたらし、したがって所得の減少をもたらすので、IS曲線は右下がりとなる。
4.LM曲線は、貨幣市場の均衡における所得と利子率の関係をまとめたものである。これが右上がりであるのは、流動性選好理論により、所得が上がった際に、貨幣需要曲線が上にシフトすることで均衡利子率も上がるからである。

第10章

確認問題

1.IS-LMモデルにおいて、所得の減少と利子率の上昇を引き起こすのは、緊縮的な金融政策によりLM曲線が上方シフトする場合なので、この中ではマネーサプライが減少する場合が該当する。
2.上記モデルにおいて、利子率と所得をともに低下させるのは、IS曲線が左方にシフトする場合であり、これは租税が増加するケースが該当する。これは、租税の乗数効果がその分だけ所得を押し下げるというIS曲線の影響による。
3.政府が政府購入の増加に対応して利子率を一定に維持するとすれば、LM曲線を右方にシフトさせる必要があるため、マネーサプライは増加し、所得への影響は、マネーサプライが一定に維持された場合よりも大きくなる。
4.信用収縮により消費が減り、その分が貯蓄に回るようになった場合、総需要を安定化させるため政府がすべきことは、利子率を低下させるために貨幣供給を増加させることである
5.生産が自然率水準以上であれば、時間を通じて価格水準は上昇し、LM曲線をシフトさせ、経済を長期均衡へと移動させる。
6.この中で、大恐慌の深刻さの一部を説明するものは、実質利子率を名目利子率以上に引き上げた期待デフレ率の上昇である。

復習問題

1.総需要曲線が右下がりになるのは、IS-LMモデルにより、物価水準が上昇することがLM曲線を上方にシフトさせ、所得が減少することによる。
2.増税は、Y=C(Y-T)+I+GよりTが増加することを指すので、消費Cが減ることで所得Yも減少する。これはIS曲線の左方シフトを意味するので、LM曲線との兼ね合いにより、利子率も下がる。一方、利子率が下がることで、投資は増える、と考えられる。
3.物価水準を一定とすると、マネーサプライの現象はLM曲線の左方シフトを誘発する。これにより、利子率は上がり、所得は減少。利子率が上がることで、投資は減ることになる。また、所得が減れば消費が減るということも必然である。
4.単純な(予想されない)物価下落と、予想された物価下落の2つに分けて考える。前者の場合、物価が下落すれば、マネーサプライが変化しないのであればLM曲線が右にシフトするため、所得は増加する。また、ピグー効果により、物価水準が下落すると消費者は豊かさが増した、と考えるようになり、支出を増やし、結果、IS曲線を右にシフトさせ、これもまた所得を増加させる。一方、予想された物価下落については、期待インフレ率を含んだIS-LMモデルを考えると、Y=C(Y-T)+I(i-Eπ)+G、M/P=L(i,Y)より、Eπがマイナスになるデフレ予想は、事前実質利子率を押し上げる効果を持ち、結果としてどの名目利子率に対しても投資を減らす効果をもつため、結論としてIS曲線は左にシフトし、所得は減少することが想定される。

第11章

確認問題

1.変動相場制下のマンデル=フレミング・モデルで、所得を増大させるのは、LM曲線が垂直であることから金融政策のみであり、この場合はマネーサプライの増大がそれに該当する。
2.固定相場制下では反対に、マネーサプライを増加しても為替レートを一定にするために物価水準の上昇等の上昇圧力がかかるため結果として所得は増えない。一方、減税のような財政政策はIS曲線を右方シフトさせ、政府はそれに対して為替レートを一定にするためにマネーサプライを増加させるので、結果として所得は増加する。
3.変動相場制下のマンデル=フレミング・モデルで、一国が輸入を制限すると、純輸出が増加することから、IS曲線がY=C(Y-T)+I(r*)+G+NX(e)で現されることより、これはIS曲線を右方シフトさせる。これは結果として通貨を増価し、純輸出は変化しない
4.固定相場制の国では、通貨を切り下げて、純輸出を増やすことでIS曲線を右方にシフトさせ、総需要を増やすことができる。
5.変動相場制下において、将来その国の通貨の価値が下がると思われた場合、改正されたISモデルからY=C(Y-T)+I(r*+θ)+G+NX(e)となることを踏まえると、これはリスクプレミアムθが上昇することを意味するため、国内利子率は上がり、結果としてIS曲線は左方シフトする。また、その際、改正されたLMモデルはM/P=L(r*+θ,Y)より、貨幣需要が減少し、所与のマネーサプライに対してより高い所得が必要となるため、LM曲線は右方シフトする。これにより、その国の通貨は減価する。
6.もし、ある国が独立した金融政策を追求したいのであれば、資本移動の自由固定為替相場の両方を持つことはできない。

復習問題

1.変動相場制下のマンデル=フレミング・モデルにおいて、増税が行われたとき、IS曲線が左方シフトするため、所得は変わらず、為替レートは減価し、純輸出が増加するため、貿易収支は改善する。固定相場制の場合は、為替レートが一定であるが、減価圧力が生じているため、これを抑えるためにはマネーサプライが減少するか、物価水準が上昇する必要がある。そのとき、所得は減少する。貿易収支は為替レートに変化がないため変わらない。
2.上記のケースにおけるマネーサプライの減少は、LM曲線を左方シフトさせるため、為替レートは増価し、所得は減少し、貿易収支は悪化する。固定相場制の場合は、為替レートが一定であるが、増価圧力が生じているため、これを抑えるためにはIS曲線が左方シフトする必要がある。結果、貿易収支は変わらないものの、所得は減少する。
3.このとき、純輸出は減るのでIS曲線は左にシフトする。そのとき、為替レートは減価し、貿易収支はやや改善。所得は変化なし。固定相場制ならば、貿易収支、為替レートに影響はないが、レートを保つためにLM曲線が左にシフトするため、所得は下がる。
4.変動相場制のメリットは、柔軟な金融政策を用いることにあり、これは固定相場制のデメリットでもある。固定相場制のメリットは、為替レートの固定自体が不確実性を抑え、マネーサプライの野放図な増加を抑えることができる点に求められ、これは一定変動相場制のデメリットにもなる。
5.国際金融のトリレンマとは、自由な資本移動、独立した金融政策、固定相場制の3つを同時に満たすことはできない、という原理のことを指す。

12章

確認問題

1.総供給の硬直価格モデルでは、Y=Y*+α(P-EP)、かつα=s/[(1-s)a]という式を用いるが、これは、物価が期待物価水準より低下すると第2項が負の値を取り、結果として産出量は減少することを表している。
2.1の通り、期待物価水準の上昇は短期供給曲線を方へシフトさせる。
3.総需要が収縮すると、総需要曲線は左方シフトする。これにより短期的に産出量は低下するが、時間の経過とともに期待物価水準が下落し、元の水準に戻る。
4.総需要曲線が右方へシフトすると、経済は短期フィリップス曲線に沿ってインフレ率のより高い地点に移動する。
5.総供給曲線が右方へシフトすると、短期フィリップス曲線がシフトして、経済はどのような失業率に対してもより低いインフレ率となる。
6.人々の期待インフレ率が新しい政策体系に素早く反応すれば、中央銀行は最小のコストでインフレ率を下げることができる。

復習問題

1.総供給を説明するモデルとして、硬直価格モデルと不完全情報モデルがある。前者は物価水準が短期的に硬直的であるという想定下で総供給を説明する体系(価格上昇が判然としない、市場の不完全性に依存)であり、後者は供給者が全ての価格を常に観察できるものではないという事実(情報の不完全性に依存)から、物価水準の変化を相対価格の変化と混同し、それが供給量の決定に影響を与えるという仮説である。共通点は、産出量は物価が期待物価水準を超えると自然率を超えて増大し、物価が期待物価水準より低下するとその自然率を下回る点である。
2.フィリップス曲線では、インフレ率は、期待インフレ率、循環的失業、供給ショックという3つの要因に依存することが示されるが、この式は総供給曲線の式から導出することができる。
3.一般に、期待インフレ率が最近に観察されたインフレ率に依存するため。
4.高水準の総需要によって生じるインフレがディマンドプル・インフレーションであり、不利な供給ショックが生産コストの上昇を引き起こすことで生じるインフレがコストプッシュ・インフレーションである。
5.インフレ抑制の計画が、賃金や価格を決める労働者や企業が期待形成を行う前に発表されること、労働者や企業がこの発表を信頼すること。
6.景気後退が失業労働者の優れたスキルを半永久的に奪ってしまうという経路、長期の失業が、失業労働者の休職意欲を奪ってしまう(弱めてしまう)という経路。

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