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ノンフィクション
『イラン――「反米宗教国家」の素顔』――矛盾の中で生きる国家
リンク イランという国が国際社会で特別な存在感を放ち続けるのには、明確な理由がある。人口約8000万、原油確認埋蔵量世界4位、天然ガスは世界2位。資源大国であると同時に、宗教と政治が複雑に絡み合う国家でもある。 本書は、そうしたイランを「反米宗... -
歴史
物語 シンガポールの歴史――小国に許された唯一の選択
リンク シンガポールという国家は、偶然や理想の産物ではない。本書が描くのは、この都市国家が初めから「戦略拠点」として設計され、選択肢の乏しい中で生き延びてきたという冷徹な現実だ。 東洋のマルタとして始まった国家 シンガポールは、イギリス人ラ... -
人物伝
『ビスマルク』――原理を疑い、国益を選び続けた政治家
リンク 本書は、ビスマルクを「最初から歴史的巨人だった存在」として描くことを慎重に避けている。プロイセン官吏を否定する彼の初期草稿から出発する構成は、後世の評価を一度解体しようとする筆者の姿勢をよく示している。 英雄像を先に置かない。その... -
漫画
まんがで読破 資本論――理解を助けるのは物語ではなく解説だった
リンク 本書はタイトルの通り、『資本論』を漫画形式で要約した入門書である。ただし、作品そのものの出来については、特筆すべき点は多くない。物語としても、表現としても、最低限の役割を果たしているにとどまる。 白眉は山崎元の解説にある 本書の価値... -
ノンフィクション
『イスラーム主義』――信仰と政治が交差する地点
リンク 本書は、イスラーム主義を単なる過激思想や宗教原理主義として切り捨てることを避け、その成立条件と思想的系譜を丁寧にたどっていく。イスラーム世界における国家、法、信仰の関係性を理解するための、冷静な導入書と言える。 神を主権者とする法... -
ノンフィクション
『アフリカ──人類の未来を握る大陸』――希望と現実が交錯する場所
リンク 本書は、アフリカを「成長市場」や「支援対象」といった単純な枠組みで捉える視点から距離を取る。歴史、政治、経済、人口動態を重ね合わせながら、この大陸が抱える可能性と危うさを同時に描き出している。 解決されない人種問題の現実 南アフリカ... -
ビジネス
『「モノ言う株主」の株式市場原論』――資本主義の基本に立ち返るために
リンク 本書は、日本の株式市場が抱える構造的な歪みを、感情論ではなく数値と原理から整理していく一冊だ。語られるのは派手な投資手法ではなく、あくまで「資本主義のルール」が、どこで、どのように無視されてきたのかという点にある。 日本市場の異常... -
漫画
『家裁の人』――正義の暴力性と向き合うための物語
リンク 本作は、家庭裁判所を舞台にしながら、法制度そのものの是非を問う作品ではない。むしろ描かれるのは、「人を裁く」という行為に関わらざるを得ない人間が、どのような姿勢でそこに立つべきか、という一点に尽きる。 主人公の家裁判事は、地位や名... -
漫画
エデンの檻――極限状況が人間を露わにする
リンク 学園ものとサバイバルSFを掛け合わせた作品は少なくないが、『エデンの檻』はその中でも明確に異色の位置を占めている。タイムスリップ、無人島、生存競争といった要素を借りながら、本作が描こうとするのは「極限下での人間の変化」そのものだ。 ... -
ノンフィクション
『韓国愛憎』――理解しようとすることが、最も困難だった時代の記録
リンク 本書は、日本と韓国の関係を感情論でも、単純な善悪でも切り分けない。むしろ、知ろうとした者が抱え込む違和感や葛藤そのものを、時間をかけて言語化していく一冊だ。 パソコン通信が可視化していた知識層 印象的なのは、初期のパソコン通信の時代...

